合同実習1

合同練習

海軍砲術学校では「気ヲ付ヶ」「前へ進メ」と言うような教練をやらされ、軍人精神でも注入さ れるのかと思っていたが、そういう時間はほんの僅かで、大部分の時間は各種の術科学校で専門の 教官の講義を聞く、海軍用語で言う座学の時間に割り当てられていた。

横須賀には砲術学校の他に水雷学校、通信学校、航海学校、工機学校など、各種の術科学校があって、士官及び下士官兵に対しそれぞれ専門の術科の教育訓練を施していたが、技術科士官に対して最初の海軍常識を与えるために、各術科学校における教育の概要を知らせておこうという趣旨であろう。

術科学校の教育の中核となるのはそれぞれの実技訓練であるが、実技訓練ともなると、ずぶの素人の技術科士官に大砲の実弾射撃をやらせてみたり、駆逐艦の操艦をやらせてみたりする訳にもゆかぬので、技術科士官講習員どもは他の人達のやっていることをただ見学するだけだった。この見学が結構面白かった。なかでも猪村は戦艦の主砲の一斉射撃が一番好きになった。

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